ベースとドラムスだけをバックに小唄を小粋に演れる
ジャズ・ミュージシャンは、ソニー・ロリンズだけだ。
当時のソニー・ロリンズがいかに輝いていたか本作は
雄弁に物語ってくれるしジョン・コルトレーンとは
まったく異なる資質を発見するだろう。
コンテンポラリーに残した「ウェイ・アウト・ウェスト」が
春風の中に遊ぶ笑顔のロリンズ・トリオ・アット・スタジオ
だとすれば、本アルバムはニューヨークの木枯らし吹きすさぶ街角に立つ
“キレる寸前”の天才をとらえた壮絶なドキュメントだ。
ドナルド・ベイリー、ピート・ラロカを擁するレギュラー・グループが昼の部に登場。
夜はウィルバー・ウェア、エルヴィン・ジョーンズからなるレコーディングに集められた
スペシャル・バンドが相方を務める。
70年代に入って、このライヴの全貌が日の目を見るが、このアルバムでレギュラーグループは
「チュニジアの夜」1曲のみ。他はすべてスペシャル・バンドによるものとなった。
ピート・ラロカのドラミングもいいが、ここ一発に底力を見せるエルヴィン・ジョーンズの煽りにはかなわない。
リズム・セクションが素晴らしいという事もサックス・トリオの成功の大きなファクターなのだから。
ヴィレッジ・ヴァンガードの夜
ヴィレッジ・ヴァンガードの夜 ジャズアルバム紹介
に加筆・修正を加え転載。
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